かぶら寿司づくり

かぶら寿司~金沢から能登に伝わった冬の風物詩~
金沢出身の近代小説家、泉鏡花や室生犀星にも愛され、
加賀藩統治の時代にルーツを持つ伝統食
そんな金沢の冬の風物詩が能登にも伝わり、能登島でも作られるようになった
なぜならかぶら寿司の材料は能登と相性がいい
麹と大きなカブにゆずやニンジンとなんば(唐辛子)
魚はブリを使うものが有名だが、サケやサバでもつくることができる
どれも地元でそろえられるものばかりだ
年末にかけて作られお正月に食べるごちそうだ



けれどかぶら寿司を手作りで作る世帯は今では少ない
それでも手作りするのは自分の好きな具をたくさん好きなだけ詰められるからだという

「買ったものだとこんなに分厚いサケがはいってないでしょう?」
と笑顔で話す能登島で手作りでかぶら寿司作りを続けるお母さん
麹も自分好みに甘くしてある
材料をきれいに千切りし、麹を作るだけでもどのぐらい手間暇や時間をかけたのだろうと
想像しただけで気が遠くなりそうな下準備の大切さを優しく教えてくれる
「これが手作りの良さだから。料理は一番おいしい食べ時が決まってるからそれを逃しちゃだめ。」
と、なんでも効率や単純化を考える筆者には頭の痛いお言葉をいただく

かぶら作りは半分に切ったカブ(カブラとも言う)に麹とサケをたっぷり詰め
麹を敷き詰めた容器に並べ、その上に千切りにした野菜をのせていく
そして重石をして数日間漬け込む
時間がたちすぎると酸味が強くなるのでおいしい時期を逃してはいけないそうだ
これが漬かれば寿司というよりカブの漬物のような見た目で、とてもクリーミーな味になる

手間暇をかけて作り、その出来上がりを楽しみに家族と待つ
そこにかかった時間や手間はどれも省いてはいけないものだろう
金沢の伝統食であったかぶら寿司は
能登島で時代とともに少しずつ土地の人に合わせて変化した郷土食の一つになるのかもしれない